「誕生日おめでと〜！」
クラッカーの火薬のにおいが部屋の中を覆った。
今日は自分の誕生日。
今、一番流行っているといわれている店の個室を貸し切って、
みんながパーティーを開催してくれた。
社会人になってもう3年だけど、
仲間と過ごすこの“サークル的”なノリが心地いい。
飲む酒も最近はビールやカクテルだけじゃなく、
ワインなんかもわからないながらに飲むようになってきている。
考えてみたら、大学時代は遊んでいて、
社会に出るのと同時に気合いを入れ直して突っ走ってきたけど、
意外とトップをとれたり、表彰されたり、そつなくこなせてきてしまった。
まあ、自分で言うのもなんだけど、負けん気は強いかも。
小・中ではいつでも、誰よりも給食食べるの速かったし(笑)。
それは、お腹が空いていただけじゃなくて、
自分の中ではいつだって“勝負”だったんだ。
だから、いつも勝負してる。いつも上を目指していたい。
そんな自分が超えられなかった壁。後藤先輩。
社会人になった自分を育ててくれた張本人でもあるんだけど。
いつも後藤先輩に同行してもらっている時はクライアントが嬉しそうだった。
いつも頼りにされていた。営業成績だけじゃなくて、必要とされる人だった。
その先輩の背中を追いかけてきたけど、3か月前にその先輩が独立をした。
まあ、先輩の仕事ぶりをみてると、当然と言えば当然かもしれないけど。
しかし、突然だったしな〜・・・。
後藤先輩も、皆を混乱させないためにギリギリまで黙ってるし・・・。
なんか、追いかける人がいなくなった
この俺のモチベーションをどうしてくれるんだ！
もう後藤先輩みたいな人はいないし、他の先輩とか課長とかを見ても
「上にあがるって、あんなもんか」っていう感じに見えるし・・・。
「じゃあ、徳永君に25歳の抱負を語ってもらいましょう！」
勝手に始まった・・・。
そんな、年始じゃないんだから抱負とか考えてないっつーの。
「え、えと・・・25歳の抱負は・・・。」
そんな時、思いもしないような言葉がついて出てきた。
「社会人3年目になった俺は、さらに上を目指す！
もっと自分がどこまでいけるか試してみるんだ。
だから、場所や環境を変えてみようと思う。
もっと自分じゃ敵わないようなところでチャレンジするんだ。」
言葉に出してみると意外に悪くない。
そうだ。京都行こう。いや、そうだ。転職しよう。
いや、転職に値するような成長できそうな企業じゃないとだめだ。
チャレンジっていう意味では、異業種の方がいいかもしれない。
家路の途中、ふと後藤先輩のことを思い出す・・・。
きっと今も後藤先輩は誰かの憧れなんだろうなぁ。
自分も25歳になって、これからはどんどん後輩なんかができていく時期。
果たして自分は“追いかけられる背中”を見せられるんだろうか？
その夜、家に帰ると酔いながらパソコンを立ち上げた。
宣言してしまった勢いもあって転職サイトを見てみる。
正直、どこも同じように見えるな〜。
なんか若さ溢れて、後藤先輩みたいな人がいっぱいいて、
ちょっとカッコイイ、そんな会社はないもんか・・・。
と、思ったら、あった！サイフォ株式会社！？
聞いたことがなかったけど、ちょっと気になる。
眠気を抑えながらも、身を乗り出した。
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